こどもに分かりやすく伝えたい日本の歴史の知識【おせち料理の意味】

おせち料理

 

こんにちは!大橋みなみです。

「なぜお正月にはおせちを食べるの?」
「お節にはどんな意味があるの?」

お節の料理一つ一つには、様々な願いが込められています。
私は保育園に調理スタッフとして「和食」の大切さや「お節」の意味を
子どもたちに伝えてきました。

「決まりだから」「伝統だから」ではなく、
一つ一つの意味を理解をすると、より一層ありがたくお節をおいしく食べることができます。

 

お節の由来

お節

昔、季節の変わり目の節句に神様にお供えをする料理を
「御節供(おせちく)」と呼んでいました。
それが庶民にも伝わり「御節供(おせちく)」が「お節(おせち)」と
呼ばれるようになり、今のお節のかたちになりました。

 

お重に詰める意味

お節 お重

お節というと、きれいにお重に詰められていますよね。
近年では三段のお重を見かけることが多いですが、地域などにより二段〜五段が重ねられます。
重箱が使われる理由は、重ねることで「福を重ねる」、積み重ねてコンパクトにできるなど諸説あります。
一番上の重は「一の重」、二番目の重は「二の重」と、
どこに何の料理が入るかも決められています。

 

一の重

お重の一番上の重のこと。「祝い肴」「口取り」を入れます。
祝い肴は、祝い膳に用いる酒の肴。単品のものが多い。
口取りは、もてなし料理(お節料理や会席料理)で最初に出す料理のこと。

かまぼこ、伊達巻、栗きんとん、黒豆など

 

二の重

二番目の重のこと。「焼き物」などボリュームのある料理。
海老や鯛などの海の幸の焼き物や、焼いた肉類などを入れます。

鯛の塩焼き、ブリの照り焼き、松風焼きなど

 

三の重

三番目の重のこと。「煮物」を入れます。
れんこんや、里芋煮、クワイなどの山の幸を入れます。
料理全体が茶色くなりがちなので、いんげん豆やにんじんの飾り切りを
添えると華やかになります。

筑前煮、山の幸を使った煮物など

 

与の重

四は死を連想させるため「与」と書いて「与の重(よのじゅう)」と読みます。
「箸休め」になるものや、日持ちのする「酢の物」を入れます。

なます、酢れんこんなど

 

五の重

一番下の重。控えの重。
地域などによっても異なりますが「福を詰める場所」として空にしておくのが一般的。

おせち料理は「奇数」にすると縁起が良いとされ、五段目は空にします。
一段に入れる料理の数も「奇数」が良いとされています。

 

食材に込められた意味・願い

 

祝い肴

お節 数の子

 

数の子

【孫繁栄、金色】

数の子はニシンの卵ですが、ニシンに「二親」という漢字を
当てはめることができるのと、卵の数が多いことから子孫繁栄の願いが込められています。
金色のおめでたい色も、お節では重宝されています。

 

黒豆

【丈夫な体、、邪気を払う、長寿】

「まめに働く」の語呂合わせや、黒は邪気を払う魔除けの色と言われています。
また、あえてシワができるように煮て「シワができるまで長生きできますように」という願いも込められています。

 

田作り

【五穀豊穣(米や麦などすべての穀物が豊かに実ること)】

豊作の願いが込められ、田んぼの肥料に小鰯を使っていたことから、
「田作り」と名がつけられました。

 

たたきごぼう

【開運、健康】

ごぼうをたたいて開くことから開運の意味が込められている。
また、ごぼうは地中に根を張り力強く成長することから「延命長寿」、
土地に根付くことから「家や家業がその土地に根付いて安定する」という願いもあります。

 

口取り

お節 一の重 かまぼこ 伊達巻

 

かまぼこ

【めでたい、魔除け】

紅白かまぼことしておめでたい意味を表しています。
また、紅は魔除け、白は身を清める、神聖という意味もあります。

 

伊達巻

【学業成就】

形状が巻物や掛け軸に似ていることから学業成就の願いが込められています。

 

栗きんとん

【金運、勝負運】

鮮やかな金色から、金運上昇の願いが込められています。
また、「勝ち栗」の意味もあり、「勝負強い一年になりますように」の願いも込められている。

 

昆布巻

【子孫繁栄】

「よろこぶ」=「こんぶ」の語呂合わせでおめでたい意味。
「こぶ」に「子生」を当てて子孫繁栄の願いも込められている。
また、数の子で紹介した「ニシン」が「二親」で縁起が良いことから「ニシンの昆布巻が」使われるようにもなりました。

 

錦卵・錦たまご(にしきたまご)

【財宝、豪華】

黄身と白身の「二色(にしょく)」→「錦(にしき)」の語呂合わせ。
黄身は金、白身は銀を表し、金銀の糸で錦の布が織れることにあやかり、「財宝」の意味があります。

 

焼き物

お節 二の重

 

海老(えび)

【長寿】

ヒゲが伸び、腰が曲がっている老人に見立て「腰が曲がるまで生きられますように」という長寿への願いが込められている。
また、脱皮を繰り返す様子を「生まれ変わる」として成長と発展を表しているます。

 

鯛(たい)

【めでたい、高級感】

鯛は「めでたい」との語呂合わせから様々のお祝いの場で重宝されています。
また、紅白色の色や高級魚であることからもおめでたい席にはかかせない魚になりました。

 

鰤(ぶり)

【立身出世】

鰤は成長にともない名前が変わる「出世魚」であることから立身出世
(社会的に高い地位につき、名声を得ること)を意味しています。

ちなみに鰤の呼び方は関東と関西で異なります。
関東では小さい順に「ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ」
関西では小さい順に「ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ」

 

ハマグリ

【夫婦円満】
対(つい)の貝殻がきれいに合わさることから夫婦円満、良縁を表します。

 

アワビ

【高級感・不老長寿】

昔から高級食材だったため、神様への供え物や贈答する習慣もありお祝いの席でも
使われるようになりました。
また、あわびは長生きのため、不老長寿としても願いも込められています。

 

煮物

三の重 筑前煮 お煮しめ お節

 

里芋・八頭(やつがしら)

【子孫繁栄・広く栄える】

里芋は、親となる芋の下に子芋、その下に孫芋と芋が連なって育つことから
子孫繁栄の願いが込められています。

八頭は、里芋の仲間で親芋と子芋がひとつになって育ちます。
その大きさから頭が八つもくっついて見え、「八頭(やつがしら)」という名が付きました。
末広がりの「八」の数字が使われているで広く栄えるという願いがあり、
親芋が大きい様子から、人のトップになれるようにという願いが込められています。

 

れんこん

【子孫繁栄】

複数の穴から「将来がよく見通せる」という意味があり、タネが多いことから
子孫繁栄も願われています。

 

クワイ

【立身出世、不老長寿】

芽がまっすぐ伸びることから立身出世を意味し、「芽出たい(めでたい)」の字を当て、
縁起を担いでいます。皮をむく際は亀の甲羅のように六角形か八角形にし、不老長寿を願います。

 

こんにゃく

ねじりこんにゃく

【良縁・縁結び】

こんにゃくを「手綱こんにゃく」にするのには見た目のよさだけではありません。
手綱とは馬を操るためのもので、手綱を締めるように気持ちを引き締め、
己を律するという意味があります。
また、手綱の形が結び目に見えるため、「良縁成就」の意味があります。

 

たけのこ

【健やかな成長】

生育が早く、天に向かって伸びることから、子どもの健やかな成長や
家運の向上が願われています。

 

酢の物

なます お節

 

紅白なます

【平和、大安】

大根とにんじんの紅白が平和、大安を願う意味があります。
色合いと千切りの形が「水引き(みずひき)」に似ているため、縁起が良いともされています。

 

菊花かぶ

【不老長寿】

日本の花である菊は昔からお祝いの席で使われてきました。
菊は邪気を払うと言われ、不老長寿の願いが込められています。

 

酢だこ

【魔除け、多幸】

茹でると鮮やかな紅白模様になる見た目の良さや、酢漬けにすると日持ちすることからお節に使われます。赤色には魔除けの意味もあります。

真っ黒な墨を吐いて敵から逃げる姿から「困難を煙に巻く」という意味もあり、
「多幸(たこ)」と、漢字に当てはめることができるので幸せの意味も願われています。

 

最後に

 

近年ではお節は作らずに購入するご家庭も多いのではないでしょうか。
購入したものだとアワビや伊勢海老など一段と高級感やおめでたさを
感じることができますよね。

当て字やシャレのようなものが多いですが、昔の人達の考えが今も受け継がれているということは、日本の文化が守られているということで嬉しく思いました。

子どもたちにも日本の文化を伝えていきたいですね。

 

調理師/料理研究家 大橋みなみ

 

参考文献
農林水産省HP
写真AC

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA